【愛読書】ストーリーとしての競争戦略:誰かに話したくなる、それが戦略の本質

エンジニアの第一線で活躍されている方からすると、少し脇道にそれるかも知れませんが、テクニカル・マーケティングやエバンジェリストといったキャリアアップを目指す方には、ぜひ一度読んでいただきたい本になります。

それが、

「ストーリーとしての競争戦略」

になります。

詳細はいろいろなサイトでも紹介されておりますが、私が一番感銘を受けた点、

クリティカル・コア

を中心に紹介させていただこうと思います。

ストーリーとしての競争戦略とは、どのような本?

誤解を恐れずに言ってしまうとマーケティングの本ではあるのですが、この著書では、

優れた戦略とは思わず人に話したくなるような面白いストーリー

として、様々な事例をもとにまとめられております。

この本自体も、面白いストーリーになっているようなイメージです。

ですので、実物を見て頂けると分かるのですが、結構なボリュームがあり、普段あまり本を読まない方だとすると、敬遠してしまうかも知れないボリュームだと思います。

それでも、少しでもマーケティングも勉強してみようと思っている方や、エンジニアとしては成長でき、次のステップを模索しているような方はぜひ読んでみて頂ければと思います。

ボリュームは確かにあるのですが、読んでいるうちに、次が気になってくるので、気づけば、それほど苦はなく読み切れると思います。

戦略成功の決め手、クリティカル・コア

この本の中でも、SP(Strategic Position)やOC(Organizational Capability)など、よくマーケティングの本などを読むと出てくる単語も説明されております。

そのような戦略の考え方の部分も、もちろん面白いのですが、私が一番面白いと感じたのが、戦略ストーリーの中核に位置するとされるクリティカル・コアになります。

クリティカル・コアとは、戦略の中核に位置するもので、ぱっと考えると、その戦略の価値といった感じでとらえられてしまうかも知れませんが、ここでは、

一見すると非合理な要素だが、戦略に組み込まれていることで強いストーリーとなる

といったことになります。

簡単に言うと、競合相手に真似されない、真似されづらいといったことになるのですが、差別化とか、そういう単純なモノでもありません。

あまり、著書の内容を書いてしまいたくはないのですが、ここだけは、事例をもとに話さないと伝わりづらいと思いますので、1例だけ挙げさせてください。

スターバックスがとった戦略におけるクリティカル・コア

スターバックスに行ったことがある人は多いと思います。

なぜ、スターバックスに行くのでしょうか?
ほかのコーヒーチェーン店と比べるとドリンク自体は高くないですか?

この答えにあたる部分ですが、実感しているかどうかは別として、スターバックスは職場とも家庭とも異なる「第三の場所」を提供してくれているから、ということになります。

第三の場所とは、くつろいだ雰囲気の中でゆったりと自分の時間を作ることができる場所、ということになります。

そのため、例えばドトールと比較すると、スターバックスの平均滞在時間は長くなっているようです。

飲食をやる方でしたら、回転率が重要な要素の1つになると思いますが、それに逆行することになります。

ここが、そのお店の価値になります。

ドトールは、安価なコーヒーで、隙間時間にさっと入って一息入れてさっと出ていく
スターバックスは、少しコーヒーは高いかも知れないが、くつろぐ空間を手に入れることができる

この違いになります。

大事なのは、どちらが良い悪いという話ではなく、そういった価値を提供している、ということになります。

そして、ここまでであれば、いわゆるポジショニングといった戦略になるのかも知れませんし、他社も真似しようと思えば真似できてしまうかも知れません。

ここで重要になるのが、クリティカル・コアになります。

スターバックスは、「くつろげる空間」を提供するための戦略を立てております。

そのコアとなるのが、直営店ということになります。

規模の経済という観点でいうと、フランチャイズで店舗数を増やしていくことが戦略の一つになりますが、スターバックスは直営店を軸にしております。

その理由が、クリティカル・コアになるのですが、

・くつろげる空間を提供するためにはスタッフの質も重要になる
・スタッフをバリスタと呼び、本社で研修を実施し質の高いサービス、コーヒーを提供する

といったことになります。

一見するとスタッフの研修にコストがかかってしまうようにみえてしまいます(一見すると非合理)が、これがあるからこそ、くつろげる空間を提供できるのです。

そのため、はたから見た競合が、フランチャイズの形態のまま、雰囲気だけを真似したとしても、スタッフの質が追い付かず、スターバックスにもなれない、ドトールにもなれない、という状況に陥ってしまいます。

この、一見すると非合理に見える直営店という方式がクリティカル・コアということになります。

いかがでしょうか?

本の内容全部を書いているわけではないので、疑問が残る部分はあるかも知れませんが、面白そうと思いませんか?

まとめ

目に見える情報で、他社との差別化を図る、これが戦略だ、というのも間違いではないとは思っております。

目に見える差別化だけではなく、目に見えない、もしくは見えづらい点が、様々な要素をつなげるクリティカル・コアであり、その戦略を強くするポイントだ、ということが非常に面白いと感じております。

いま自分が担当している業務で、参考にしようと思っても簡単にできる事ではないですが、このような考え方が頭の片隅にあるかないかだけでも非常に大きな差になると思っております。

これまで、この本を読んで良いと感じてから、いろんな人に貸しては無くなり、少し寂しくなって再度購入し、といったことを何度か繰り返すくらい私にはマッチした内容でした。

ストーリー、これを常に意識しながら私も成長していきたいと思います。

参考記事:

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