「目標管理制度(MBO)」には良い面と悪い面がある。職種によって上手く活用できない可能性がある。

サラリーマンとして働いている方であれば、目標管理制度=MBOという言葉を、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

もしくは、いまいる会社の評価制度として活用されている方も多いのではないでしょうか。

このMBOについて、みなさんはどう考えておりますでしょうか。

目標に対する達成度が明確になるためとても使いやすい、と感じておりますでしょうか。

意図は理解するが運用は難しい、と感じておりますでしょうか。

私は、どちらかと言えば後者の考えを持っております。

最近では、MBOをやめようとしている企業も多くなっているとのことですが、MBOにはどのようなメリットがあって、それでも何が問題でやめようとしている企業が多くなっているのでしょうか。

目標管理制度=MBOとは

まずそもそも目標管理制度=MBOとはどのようなものなのか、簡単に整理しておきたいと思います。

経営学者であるドラッカーが提唱したとされており、古くから全世界で評価制度の1つとして使われているものとなります。

MBOはManagement by objectivesの略であり、目標を立てて、その目標に対する達成率を管理していく目標管理制度になります。

一般的な運用としては、年度の始めに目標、営業であれば売上目標などを立て、その達成度合いを年度の終わりに確認し、評価に反映する形になります。

MBOのメリット・デメリット

MBOのメリット

MBOのメリットとしては、

  • 自身で目標を立てて、その目標に向かうという明確な活動指針になる
  • 会社としての目標、組織としての目標、個人としての目標、これらを上からブレークダウンしていくことで、会社の目標に沿った活動を行うことができる
  • 達成度合いが明確になりやすいため、納得感のある評価となる

といったことが挙げられると思います。

特に営業職の方であれば、会社としての売上目標があり、その売り上げを達成するための組織としての売上目標があり、その売り上げを達成するための個人としての売り上げ目標がある。

このように、意図をもってブレークダウンすることで、自身の目標達成が、最終的には会社の目標達成につながることがイメージしやすくなるかと思います。

また、目標を数値として定義できれば、達成率も数値としてあらわすことが可能で、評価する側、評価される側双方の認識に差が生まれにくくなります。

MBOのデメリット

一方でMBOデメリットとしては、

  • そもそも数値で達成度を立てることが難しい場合がある
  • 容易に達成できる目標設定、達成が難しい目標設定が人によって異ならないように合わせる必要があるが、納得感のある調整はかなり難しい
  • 1年間の評価制度に合わせて目標を立てる場合が多いと思うが、時代の変化は激しくなっており、1年後には、その目標や達成指標が適しているかどうかは読めない。

といったことが挙げられます。

せっかく数値で達成度が明確になるメリットを生かそうとしても、そもそも達成指標に不明確さが残ってしまうことも多く、実際の運用は簡単ではありません。

先ほどと同じく営業職のケースでは、AさんとBさんで同じ売上目標としたときに、Aさんは1年間コツコツと新規の顧客開拓もしつつ売り上げを積み重ねたが、9割の目標達成となった。

一方、Bさんは年度が始まって3ヶ月で、たまたま付き合いのある顧客から売上目標を達成するようなプロジェクトを受注できたため、残り9か月は手を抜きながら仕事をしていた。

どうでしょうか、AさんBさんどちらの評価が高いでしょうか。

MBOという観点ではBさんの評価が高くなります。

これに関しては、見る視点によって、当たり前と思う方もいると思いますし、何となくおかしいと思う方もいると思います。

その理由としては、

  • 最近よく言われるジョブ型の働き方という意味合いでは、自分のジョブを達成しているのですから、その他の働き方に文句を言われる必要はない。よって、Bさんの評価が高くて当然
  • Bさんはたまたま宝くじに当たったようなものであり、様々な要素からAさんの方が評価が高いのではないか。

といった意見が出てきてしまうからになります。

これはすごく極端な例ではありますが、このようなことはどうしても発生してしまいます。

MBOを効果的に運用するには

それでは、MBOのメリットとデメリットを理解したうえで、どのように運用するのが良いのでしょうか。

こちらは会社の業種や風土にも関係すると思いますので、一概には言えないのですが、私個人的には以下のような思いがあります。

  • 売上目標のように明確に数値での目標を立てることのできない職種では利用しない。
  • 売上目標を立てることのできる職種であっても、運の要素は排除できないため、良いときもあれば悪いときもある、という理解を浸透させておく必要がある
  • 運に左右されづらい、継続的な活動やプロセスも目標として設定する。
  • 目標は定量的に判断できるようにすることがセオリーだが、あえて曖昧さを残す余白も作る

私自身も、いまだ正解を見つけることはできていないと感じます。

しかし、何事も完璧なものはありませんので、ある程度の割り切りも必要で、その割り切りもきちんと説明することが大事なのだと思います。

まとめ

目標管理、というより評価は、初めて上司になるような方にとって、とても気が重い作業だと思いますし、何年、何回と実施しても慣れるものではありません。

評価が難しい理由は、

自身の下した評価が相手の人生に影響を与える可能性がある

のですから、胃が痛くなる思いでもやりきる必要があるのだと思っております。

私も評価する側の立場になってから時間が経っておりますが、全然慣れる感じがしておりません。

会社に所属している以上、評価をつける必要はどうしてもあり、評価をつけると、他人と差も出てしまいます。

このような時に、特に低い評価をつけた相手に対しては、自分が何をもってそのような判断を下したのか、その軸を保つことが必要なのだと思います。

この軸を示すためにMBOという目標管理の制度が適しているとは、私は考えておりません。

MBOの説明から、評価のあるべき姿といった話になってしまいましたが、仕組みは色々ありますので、その中から、組織にあったものを使いつつ、より良い風土を作っていくことが重要だと感じます。

参考記事:

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