役職定年、ポストオフという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
サラリーマンとして働き出世をすることで、課長、部長と昇進していくと思いますが、ある年齢でその課長や部長といった役職から外れることを言います。
これは会社の制度として存在し、何歳になるとポストオフするケースと、慣例的にポストオフするケースが存在するようです。
ポストオフされた時の本人の意識の変化としては、以下のような調査結果があります。
(出展:パーソル総合研究所『ミドル・シニアの躍進実態調査 調査概要』より)
ポストオフと聞くとネガティブなイメージを持ってしまうかも知れませんし、そのような変化が多いのも事実だとは思いますが、ポジティブな変化も見られます。
・自分のキャリアと向き合う機会になった
・プレッシャー消失、気持ちが楽になった
・マネジメントから解放、今まで取り組めなかったことをやる気になった
私自身はポストオフを経験したことがないため、想像の域をでないのですが、いまの考えとしては良い事だと思っています。
そこで私が良いと考える点について記載させていただきます。
もくじ
年齢が上の人だけで構成される上層部では会社の意思決定スピードが遅い
良くも悪くも年功序列が存在する日本の企業において、課長や部長、さらにはその上の役職となると、40代や50代といった年齢の人間で構成されることになります。
もちろん、その方々には、長年培ってきた経験という強い武器があり、その武器を最大限に使うことで、会社をよりよい方向に導くことができると思います。
ただ、その時の会社の状態は、世の中は時代の流れとともに変化していくことが当たり前です。
いまの10代や20代の人の感性と、50代や60代の人の感性、これは異なってしまうのは仕方ないことだと思います。
そうしたときに、会社の方向性を決める上層部を構成するメンバーが、すべて50代や60代というのでは、変化の早い今の時代を乗り切れないですし、スピードについていけないと思います。
若い血を循環させるという意味で、ポストオフではなく、若手のポストオンととらえる
上層部の人間が50代や60代だとスピードが遅くなる、なので、ある程度の年齢の方にはポストオフしてもらう。
私のように良い事だと感じる人もいるかも知れませんが、一般的には役職を“外される”という印象だと思います。
そこで、やることは変わらないのですが、考え方を若手目線で考えることが重要だと思います。
(×)年齢が高い人にポストオフしてもらう
(〇)優秀な若手にポストオンしてもらう
このように考えることで、仕事ができないからポストオフというよりは、会社全体のスピードを上げるために、若手のポストオンを推進する、そのため自分はポストオフという文脈ができあがると思います。
若手のポストオンといっても、やはり経験値が足りないことになりますので、自身が持っている経験からくる知恵や知識は、その若手にふんだんに注いであげる必要があると思います。
これにより、適材適所という言葉がまさに適切なように、各自が自分の能力を発揮できるポジションというものを作っていけるのかと思います。
最初からポストオフという制度を認識して働くことでキャリアプランもしっかりと考えることができる
ポストオフは良いという話をしてきましたが、問題は、
慣例的に“突然”実施される
というところかと思います。
以下のような調査結果もあります。
(出展:パーソル総合研究所『ミドル・シニアの躍進実態調査 調査概要』より)
ポストオフの告知タイミングが、「特に説明はなかった」と「直前」を合わせると、約68%にもなります。
ポストオフされるのが、説明もなしに直前に言われたら、それは当然モチベーションを維持しろと言われても無理がありますし、すごく失礼な対応だと思います。
年齢が上がることで、頭の回転も若手と比較すると衰えてくるかも知れませんが、その方たちは、これまで会社を支えて発展させてきた人たちです。
その人たちを軽んじるような行為はおかしいと思います。
ですので、私は、最初からポストオフ制度を明確にしておくことで、働いている側も最初からホストオフのタイミングを意識してキャリアを描くことが出来るため、良い制度だと思っております。
極端に言えば、50歳になったら全員ポストオフという感じでも良いとさえ思ってしまいます。
また、そのような時間軸が明確になっていれば、たとえポストオフにより年収が下がるとしても、それを前提に人生プランを作っていけば良いだけで、人生にメリハリもできるのではないかと感じます。
まとめ
ポストオフ、私はまだ経験しておらず、今の役職から退任させられるタイミングが来たとしたら落ち込む可能性もあるのですが、事前にそういうものであるという心構えがあれば、その前提でキャリア形成をしていけば良いだけだと思います。
終身雇用が崩壊しつつある現状を生きていくためには、このような風土に慣れていく必要があると考えます。
50歳なんてまだ若い
50歳で若手に負けるような活躍しかできない人間なら、そもそもできない人間である
こんな反論も聞こえてきそうですし、私も、50歳を超えたとしても若手や中堅社員に負けないように頑張ろう、という気持ちはあります。
しかし、
仕事ができる・できないの話ではなく、若返り・時代に合わせる
この観点で、ポストオフを制度として活用することで、若い方の育成の場を提供することになりますし、ポストオフした方も、次の世代を支える良き相談者のような存在になれるかも知れません。
ポストオフ、日本ではまだ多くない制度だとは思いますが、私自身は50歳でポストオフを意識して、いまの自分を成長させていこうと考えております。
参考記事: