「つながらない権利」の議論から考える、これからの働き方と上司としての振る舞い

最近、つながらない権利について議論されているニュースを見るようになりました。

正直、20年ほど前に社会人として働きだしたころは、考えられないような議論だと思いました。

ただし、時代が変化していることも理解しておりますし、特に上司として部下を持つような立場になってからは、「部下にとってのつながらない権利」は必要な意識であると感じておりました。

そこで今回は、

・つながらない権利とは
・つながらない権利が騒がれている理由
・つながらない権利の議論に関して思うこと

について私の考えを整理していきたいと思います。

つながらない権利とは

そもそも、「つながらない権利」とは、ウィキベディアから引用すると、

「労働者が勤務時間外には仕事のメールや電話などへの対応を拒否できる権利のこと」

と記載されています。

労働者の権利については、欧州が進んでいる印象がありますが、こちらの権利についても、フランスなどではすでに法律として定められているようです。

勤務時間外に仕事をしない権利

すごく当たり前のことのように感じる方もいるかも知れません。

ただし、冒頭でも記載しましたが、過去は勤務時間外でも緊急の要件に対しては対応をしていたことがあります。

人によっては、

「勤務時間外の連絡など、無視すれば良い」

と感じるかも知れませんが、周りの雰囲気など、昔は断ることも勇気のいる事でした。

そのような状態を解消しようというのが、つながらない権利なのだと思います。

つながらない権利が騒がれている理由

一見すると、当たり前のことですし、法律などにする必要性まで感じない方もいるかも知れませんが、つながらない権利が騒がれている理由としては、2つあると思います。

・テレワークが浸透していくことで、より勤務時間と勤務時間外の区別が難しくなってきた
・オンラインで容易につながる手段が増えてしまった

それぞれ見ていきましょう

テレワークが浸透していくことで、より勤務時間と勤務時間外の区別が難しくなってきた

テレワークや在宅勤務といった、会社のオフィスではない場所での勤務も増えてきていると思います。

これまで、勤務時間は会社のオフィスにて、終業すると会社のオフィスを出て自宅に帰るスタイルでした。

そのため、

勤務時間=会社のオフィスの滞在時間

が成り立ちました。

それが、自宅で仕事をするようになり、どこからが仕事でどこからがプライベートなのか、その境界線が非常にあいまいになってきていると言えます。

そのため、夕食の時間は家族と食事をするために一度仕事を中断し、夜のちょっと空いた時間に仕事の続きをやる、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そうなると、必然的に、一般的な勤務時間ではない時間である夜中にメールなどの連絡をしてしまうことになります。

送り手は、自分の都合の良いスタイルで働いているだけのため問題ないのですが、受け手からすると、勤務時間外の連絡になり、それが上司からだとすると対応せざるを得ない、という印象を与えてしまう可能性があります。

つまりはサービス残業といった絶対にやってはいけないことにつながってしまうため、権利として明確にする必要があります。

オンラインで容易につながる手段が増えてしまった

オンラインで仕事ができることは良い面がほとんどのため、この部分に言及はしたくないのが本音ではあるのですが、オンラインで容易につながることが出来るのも1つの理由だと思います。

会社の同僚と連絡を取る手段、いくつくらいお持ちでしょうか?

昔は電話くらいしかありませんでしたが、

・電話
・メール
・LINE
・FacebookやTwitterのDM

などなど、相手との関係性にもよりますが、非常に多くの手段があります。

それも、FacebookなどのSNSの場合、連絡手段という意識が無く、気軽に友達になってしまうのではないでしょうか。

ダイレクトメッセージを使えば、LINEなどのチャットと変わらず連絡を取ることが出来ると思います。

さらに、プライベート用スマホと会社用スマホを分けている方もいらっしゃると思いますし、プライベートの時は会社用スマホをみない方もいらっしゃると思います。

しかし、Facebookなどはプライベート用スマホに入れていると思いますので、本当にいつでも連絡自体はできてしまいます。

このような状況において、受け手側の判断だけで無視することが難しいため、つながらない権利として議論する必要性が出ているのだと思います。

つながらない権利の議論に関して思うこと

私は古い人間で、若いときはがむしゃらに仕事をしていましたので、わざわざ「つながらない権利」として議論することに疑問を持つ部分もあります。

ただ、出世して上司となり部下を持つようになってからこれまで、極力、

・勤務時間外や週末にメールは送らない。自分が仕事をしたとしてもメールは下書きに保存し、次の勤務時間に送信する

ことは気をつけてきましたし、そうすべきだと思います。

上司の頑張っているアピールで部下はついてこないです。

そのため、「つながらない権利」は必要なことだとは思うのですが、法律として整備する必要があるのか、という気持ちは正直あります。

もちろん、法律として整備せずに、自主性に任せていると「権利」が軽んじられる危険性があることも分かりますが、やはり例外を設ける必要はあるのかな、という気持ちはあります。

1例として、先日NTTドコモで障害があったかと思います。

私は関係者ではありませんので、内部のことや詳細は分からないですが、あのような障害があった時、NTTドコモは総務省への報告義務が発生する場合があります。

その義務を果たすために、関係者の皆様は必死になって対応されていたのだと思いますが、その時に「つながらない権利」が足かせになってしまっても良いのでしょうか。

どちらが正解、という話ではないかも知れませんが、矛盾が生まれる部分はいろいろあると思いますので、そこまで含めた形で整理されることを期待しております。

まとめ

私が若かった時には考えられない話ではありますが、

「つながらない権利」

これらの労働者を守るための仕組みは必須であることに変わりありません。

部下をもって働いている方にとっては、成果を出すことと部下の権利を守ること、この矛盾する部分を上手にバランスとっていくことが必要になるのだと思います。

いまの課長や部長といった、現場との距離感が離れすぎていない上司の方にとっては、また難しい問題を突きつけられることになるかも知れません。

しかし、時代に合わせて自分のスキルを向上させていくために、様々な視点を持って日々の活動をしていく必要があるのだと思います。

それが上司である私たちの仕事でもあり、その分の対価をもらっているのだと思います。

出世したら終わり、ではなく、時代に合わせて、常に自分自身を成長させていくことは、いつの時代になっても必要なことなのだと痛感します。

参考記事:

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