こんなニュースが。
古くからネットワーク関連のエンジニアとして働いてきた方にとっては盲点と思われるような内容がありましたので整理してみます。
こちらの記事に記載されていることを整理し、なぜこのような事が起こってしまうのか、これからのエンジニアにとって、どのようなことが重要になるかなどを考察していきたいと思います。
もくじ
記事の概要
流れとしては、
- 企業ネットワークにおいて、セキュリティを担保するために、不要な端末を接続させたくない
- 唯一無二の存在であるMACアドレスを使って、登録されていない端末は接続できないようにする
- 最新のiPhone/iOSは(Androidも同様)、機器に紐づけられたMACアドレスではなく、仮想的なMACアドレスを使っており、OSを更新するとMACアドレスが変更される
- 一度、企業ネットワークに接続できるようにMACアドレスを登録していたが、この変更により、認証が通らず接続できなくなる
という感じです。
ネットワーク・エンジニアとして働いている人からすると、結果を聞くとそれは当たり前だ、と感じると思います。
でも、この記事を読んだり、この事象が発生する前に気づけたでしょうか。ここがポイントだと思います。
iPhoneがWiFiに接続できない事象から考えられる、これからのエンジニアに求められること
過去の知識・常識に捉われない
以前からネットワークを勉強して、業務として携わってきた人にとって、MACアドレスは唯一無二のもの、というイメージが強いのではないでしょうか。
(一方で、MACアドレスは簡単に詐称できるということもありますが、実際の運用では、MACアドレスをキーに認証しているといったことも多いと思います)
通信の基礎として、いわゆるLayer2の通信で使われるMACアドレス、これはネットワーク内で重複があってはならない、というのは大前提ではありますし、それなくして通信は成り立ちません。
ですので、この知識自体が無駄ではないですし、必要な知識だと思います。
ただし、仮想化関連に携わったことのある方なら分かると思いますが、そもそも仮想化(Hypervisor上にゲストVMを作成する)の技術が出てきてから、MACアドレスは唯一無二のものではなくなっていることを知っているか、気づけるかということが重要になります。
(ネットワーク冗長化のVRRPなどでは仮想MACアドレスが使われることを認識していたとしても、クライアント側で同様のことが発生することに気付けるか、ということになります)
こちらも、今回の問題と同様、仮想的なMACアドレスを使っているため、いつかは重複する可能性があります。
もちろん一般的な利用環境において、特段問題になるようなレベルではないですが。
このようなテクノロジの変化・進化により、過去の知識・常識が崩れることはよくあることだと思います。
時代が変化した時に、エンジニアとして取り残されないためには、やはりアンテナを広くはり、学び続ける、興味を持ち続けることが、エンジニアには大事なことだと感じます。
様々な状況を高い視点から結びつける
エンジニアとして学び続けることが重要というのはもちろんですが、1歩先を行くエンジニアになるためには、こちらがより重要になると感じます。
・高い視点で物事をとらえる
物事を高い視点からとらえることはエンジニアだけではなく、ビジネスマンとして重要なことと言えるかも知れませんが、今回の事象に絡めると、
- 仮想化のテクノロジの登場、進化によりMACアドレスは唯一無二のものではなくなっている
- この1つの変化により、これまで常識だったものは今後も常識のままなのか?
といった思考ができるかどうかだと思います。
過去の経験だけを頼りにしている考え方しか持っていない場合、実際に事態に直面しない事には、思いつかないことも多々あるとは思います。
一度視点をあげてみる、一歩引いて物事を見てみる、といった癖をつけることは、周りのエンジニアに差をつける重要な要素だと思います。
これができるようになれば、新しい事を始めるときでも、必要な判断が出来るようになってきます。
まとめ
今回の事象
iPhoneは仮想のMACアドレスを使っており、OS更新などをするとMACアドレスが変更される場合があり、MACアドレスをキーに接続制限をしている環境では通信ができなくなる
このこと自体、結果・原因まで聞けば当たり前だよね、と思うようなことだとは思いますが、こういったことを事前に気づけるか、そのためには、日々どのような準備をしておく必要があるのか、を考えさせられる内容だったと思います。
技術は進歩し続け、これまでの常識がこれからの常識ではない、ということは往々に発生すると思います。
その進化・変化に対応できるエンジニアであり続けるのは簡単なことではないかも知れませんが、私も成長を止めないように頑張りたいと感じました。
参考記事: